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対話鑑賞を授業に取り入れている 古賀久貴先生にお話を伺いました①対話鑑賞は子どもたちにとってどんな意味があるのか?(前半)
教員限定 対話型鑑賞授業オンライン講座】受講教諭に聞きました!
昭島市立光華小学校図工専科教諭 古賀久貴先生(2023年春受講)
プレーワークをはじめ「遊び」を通した子どもの創造性を育む自由な学びを推進されている古賀先生は、図工の授業に対話鑑賞を取り入れています。
身体を動かす活動や造形表現と共に鑑賞を大切にするねらいとは?対話鑑賞は子どもたちにとってどんな意味があるのか?お話を聞きました。(前半)

植物の名前を知っているよりも その植物を見て心が動くことのほうがずっと大事
かつての日本の美術教育は、美術史を覚えること、たとえば「この絵はピカソの何の作品か?」といった「知識偏重」だったと聞いています。でも30年ほど前から、それは本質じゃないよね、ということが問い返され、子どもが身の回りのものごとと相互作用し、感じたこと思ったことを表していくことを大切にするために造形遊びが位置づけられ、対話鑑賞もそういう文脈にあると思います。レイチェル・カーソンが『センス・オブ・ワンダー』で「植物の名前を知っているよりも、その植物を見て心が動くことの方がずっと大事なんだ」と言ったように、アート鑑賞も全く同じだと思っています。美術館でも、いかに作品を感じてもらうか、どのような鑑賞の場を届けるか、ワークシートを導入したり展示を工夫したりするようになってきています。
教員の立場では、美術作品はもちろんですが、それに限らず、世の中は、身の周りにあるものは面白いんだ、それを自分で見つけて楽しんでいくことでゆたかになるんだ、ということを子どもたちに手渡していきたい。対話鑑賞やアートカードを使った授業は、美術作品をはじめ「味わい方のチャンネル」を伝えるひとつの方法だと思っています。
対話鑑賞は作品が目の前にあることで 地に足のついたやり取りができる。
グループ鑑賞では、自分だけでは気づかなかった異なる意見、多様な視点に出会えることが大きいです。他者の刺激を受けて、自分の視点を深めたり広げたりできるのが、対話鑑賞のよいところです。子どもは自分の世界の話を一気に話すことがありますが、作品という共通の対象があるので、「どこを見てそう思ったの?」「ここの話だね」と目の前の作品を見て具体的に確認できるので、地に足のついたやりとりになる。国語科で取り組む人たちがいる「一読総合法」にも似ていると密かに思っているのですが、「あ、それならわかる」みたいに納得できる方法で、新しい視点を得ることができると思います。
これは対話のトレーニングにもなります。対話鑑賞では「見る」ことを「言葉」とどう結びつけるか、どのように「言語化」するかを意識しなくてはいけないので、「かたちや色」の表現を、自分の言葉に置き換えるとどうなるのかを深めていくような取り組みになっています。子どもたちにも話すのですが、人間は言葉を使って考え、意思疎通し、意味や概念を整理するので、言葉から逃れたくても逃れられない。近年はインターネットやデジタルメディアの隆盛でますます重視されるようになっている。その部分は国語の力なども借りながら耕す必要があって、子どもたちが自分で育んでいけるような道筋を示していければと思います。
(後半)につづく。後半ではオンライン講座の活かし方のほか、教科書教材の「アートカード」を使った鑑賞実践についてもお聞きしています。どうぞお楽しみに!

