ブログ
「ゆたかな人生にダイレクトにつながるアート鑑賞(後半)」講座やアートカードについて。子どもたちに伝えたい思いとは?
【教員限定 対話型鑑賞授業オンライン講座】受講教諭に聞きました!
昭島市立光華小学校図工専科教諭 古賀久貴先生(2023年春受講)
お話の後半では、ファシリテーションやオンライン講座の活かし方、そして「アートカード」を使った鑑賞実践についても伺いました。
アート鑑賞を通して先生が子どもたちに伝えたい思いとは?(後半)
ファシリテーションを学ぶ意味
図工美術に限らずどんな教科でも、ひとつの事柄を対象として、みんなで語り合うということが非常に重要になってきています。対話鑑賞はそういうトレーニングにもなるし、やればやるほど鑑賞者の言語化する力も、そしてファシリテーションも身についていくでしょう。学習指導要領の改訂で、学校教育も「ティーチャーからファシリテーターへ」という流れになっていて、今やファシリテーションは誰もができるようにすべき技術になってきています。
アーツ×ダイアローグwebの活用
講座を受講すると利用できる会員サイト<アーツ×ダイアローグweb>は、学年やテーマに応じて作品の組み合わせが用意されているのがとても使いやすいです。図工美術の教員でなくても使えると思います。今はGoogle Arts&Cultureなどの便利なサイトもありますが、情報量が膨大過ぎて、時間もないし自分がやる時に何をチョイスすればよいか手を付けられない。このサイトで慣れていけば、膨大な情報も、こういうふうに組み立てて使おう、とステップアップして考えていけるんじゃないかと思います。
また、サイト内の掲示板的なコーナーで、実際の現場で起きた困りごとや、「こういうテーマでやりたいけど、どんな作品がある?」など相談したり、サポートしてもらえる場でつながっていければ安心感もあり、支えにもなるのかなと思います。

対話を育むアートカードを使った鑑賞
図工の教科書教材の「アートカード」を使った鑑賞もよくやっています。4~6人程度のグループで、例えば「今の自分の気分に最も合うカード」を選ぶ。「今日はとても暑いので、この赤い色がぴったりです」といった具合で、どうしてそれを選んだのか?理由を添えて話してもらいます。
カードを2つの山にしてめくり、どっちの絵が「美味しそう?」「うるさい?」「強そう?」といった「お題」に合うかを考えるゲームもします。美術において「美味しい」や「うるさい」というのは変に思えるかもしれませんが、「あれ、そういう観点で作品を見たり、味わってもいいんだ」と思えるような見方をいかに多くするかを考えています。子どもたちは「こっちはどんな感じ?」「色が濃い方じゃない?」「硬い感じがするから」などと自分の感覚を言語化し、相談して決めていく中で、自分と同じ見方でカードを選ぶ人もいるし別の見方もある、という経験を重ねていく。それぞれの個性を見出し、お互いを認め合うことにも繋がっていきます。
グループによって、自分たちで盛り上がって温められるグループと温まらないグループは出てきます。人の話を聞くことに価値があるということは、自分が受け止められた経験を積まないとわからないので、そこで話を聞き合う対話力みたいなものは、図工だけで育つものではなく、学級経営の中でも「対話」を取り入れていく必要があるでしょう。
ゆたかな人生にダイレクトにつながるアート鑑賞
子どもたちとアート作品を前にして、「この作品は名画で、こういうところがポイントだから覚えておくんだよ」と見せるのではなくて、「君たちだったら、どうやってこの作品を楽しめる?」とやったほうが鑑賞者にとってずっと意味のある行為になると思っています。「自分が良いと思う感覚」や「自分なりの面白さ」に自信を持ってほしい。「私はここが好きだ」と言える確信や、あるいは「なんとなく好き」という感覚を大切にする。アートの多義性というか、作品解釈の幅が広く入り込みやすいことがそれを可能にしています。アート作品を自分なりに見ることは、自分の人生をゆたかにすることにダイレクトにつながっていくと思います。自分の暮らしや人生をゆたかに楽しむための軸を作ること。それが、人の成長において非常に重要だと思います。美術に限らず、身の回りをどう面白くするのか、自分の事としてどのように捉えるのか、その視点やマインドセットを育む場として、図工や対話鑑賞が役に立つといいな、と考えています。(了)

